施工図の作成は誰が行うべきなのか?
施工図の作成を行うケース
施工図は設計図面を基にして、現場で建設作業を行う職人さんが作業をする際に必要とするものです。そのため、どの建設現場でも施工図が作られることになります。設計図は建築事務所もしくは設計士が作成するものですが、施工図は意図が異なりますので、設計事務所で作られることは少ないです。
ゼネコンなど様々な建設事業を同時に行える能力を持つ会社の場合は、自前で設計図の他に施工図を作成できる部署を持っていることもあります。社内ですべての図面を用意することができるため、作成スピードも早いですし、コミュニケーションが取りやすい分、納まりの良い施工図ができることになります。ゼネコンでなくても、ハウスメーカーや規模の大きめの工務店であれば、施工図を内製できる体制を整えていることが多いものです。
一方で、小さめの工務店などは、設計図を受け取っても自分たちで施工図を作る人員を確保していないことも多いので、外注することが多くなります。建設に関する総合的な業務を請け負っている会社が、業務の一つとして施工図を作成することもあって、取引があったり協力体制を持っていたりすると、自動的にそちらに仕事を依頼するケースが多く見られます。
こうした例とは別に、施工図を専門としている会社に依頼することもできます。施工図専門のプロに依頼することには、いろいろなメリットがあります。
施工図作成の専門家に依頼するメリット
メリットの一つとしては、やはり質の高い図面を受け取れるということにあります。専門としているだけあって、漏れがなく現場を意識した、納まりの良い施工図を作ることができます。
施工図は作成する人によって、かなり仕上がりにばらつきがあるのが現状です。他の作業との取り合いがうまくできていなかったり、図面上は可能に見える寸法も、実際に現場でやってみると厳しい作り方になっていたりすることもあります。これは、現場における作業の実際を知らなかったり、ノウハウが不足していたりすることが原因です。
しかし、施工図専門会社であれば、現場に足を運んで職人さんたちがどのように仕事をしているのかを、自分の目でチェックしていますので、より実践的な図面を起こせるのです。また、施工図作成が生業となっていますので、ノウハウの蓄積が他のところとは大きく違います。
対応できる範囲が非常に広いというのも、もう一つのメリットです。施工図と一口に言っても、基礎から仕上げの内装までたくさんの種類があります。それぞれに納め方や用いる資材の特徴が異なり、一つ一つの図面に特有の専門知識と技術が求められます。こうしたことから、特定の施工図の作成ができる人であっても、他の分野についてはそれほど知識がないということはよくあります。その点、施工図専門会社であれば、豊富な実績と経験に基づいた対応力がありますし、それぞれの分野に精通したスタッフを抱えています。そのため、異なるタイプの施工図をまとめて作成できるという強みがあります。
このように、いくつもの施工図をワンストップで作るということにはメリットがあります。異なる作業区分であっても、当然、別の工事に影響があり、仕上げ方によって納まりが変わってきます。一つの工事と他の工事との取り合いをきちんと考えて図面を作っていないと、いざ作業をする時に混乱が生じてしまうのです。その点、一つの場所で一括作成すれば、それぞれの施工図を参照しながら、整合性の取れた別々の図面を作り上げることができます。こうしたことからも、施工図の専門家にまとめて依頼する方が、工事がスムーズに進む助けとなるのです。
施工図を依頼する際に気を付けたいポイント
今まで見てきたように、施工図は作る人次第で、その質が大きく変わってきます。同時に、依頼する側の取り扱いによっても違いが出てきます。そのため、依頼する時にはいくつかのポイントを押さえておくようにしましょう。
まず、自前でいくつかの施工図を作る、もしくは他のところで数点だけ頼む場合には、そのことを伝えておくと良いでしょう。図面によってはお互いに干渉し合うものもありますので、可能であればすでに出来上がっている別の施工図を確認した方が、より精度が高くなることが多いです。
また、施工図を受け取ったら、すぐに内容をチェックしましょう。関係し合う図面を並べ、納まりや整合性を確認して、無理のない現実的な仕上がりとなっているかを見るのです。もし、納まりがつかないところがあれば、修正依頼を出すこともできます。
同時に、施工手順を図面を見ながら決めていきます。手順次第で、設備の入れ方や配管の取り付けなどが難しくなってしまうこともあるからです。早めにプランを練って、施工図通りに現場での仕事ができるように管理しましょう。そして、こうしたチェックをする人と、現場監督との連絡を密にして、詳細な点を共有できるようにしておきます。