施工図を依頼するに当たって会社選びをする基準

施工図の重要性

施工図は設計図とは違い、現場での作業をスムーズに進めるために作成されます。そのため、設計図には載っていない細かな指示を作ることが求められます。たとえば、使う材料の種類や取付位置の寸法、配線の仕方などです。施工図が正確でなければ、当然、現場の施工業者は混乱しますし、ミスが出ることになります。また、現場における作業を理解していないと、図面上は可能な工事であったとしても、実際にはとてもできないような工事となってしまったり、できたとしても無理のある内容となってしまうこともあります。施工図次第で、かなりの程度施工現場の効率や仕上がりに影響が出てくるわけです。

会社による施工図の質の違い

このように、施工図によって現場での作業の質が変わってくるわけですが、誰が施工図を作るのかという点も大事です。同じ設計図を基にしても、作成を行う会社によって、施工図に違いが出てくることも多いからです。と言うのも、同じような完成イメージをするにも、異なる施工の仕方や使う材料の違いが生まれるからです。会社によって指定する材料が違うものですし、内装や設備の納め方などにも独自の特徴というものがあります。そして、なにより現場の作業についての理解度という差があります。施工図は単に設計図に載っていない詳細を加えれば良いというものではありません。現場の作業員がどのように仕事をするかを具体的に指示する書類でもあるのです。それぞれの工事において、どんな順番でどんな技術を使って作業をしているかを分かっていないと、使いづらい施工図となってしまいます。

そのため、会社によって同じように見える図面でも、実際に工事で使ってみると、その質の違いが明らかに出ることがあります。現場を理解していない会社による図面だと、作業中に疑問点が多く出てきますので、スムーズな施工ができず、工事が遅れてしまいます。また、ミスが発生しやすくなったり、工事区間や作業をする業者によって仕上がりの違いが出たりすることが多くなります。質の高い建設物を作りたいのであれば、設計士と共に、施工図作成会社もしっかりと検討して選ぶことが求められるというわけです。

施工図作成に必要な資格とは?

上記のように、施工図は依頼する会社によって出来が違いますので、安心できるところを見つけたいものです。そのためのポイントとしてはいくつかありますが、どんな資格を持っているかというのも参考になります。

まず、基本として、設計図とは違い、施工図を描くには何らかの資格が求められているわけではありません。そのため、設計士の資格がないから施工図が描けないということではないのです。しかし、やはり図面を描く上でのスキルを持っているというのはとても大事なことです。そのため、1級建築士や2級建築士の資格を持っているということは、建築構造や施工についての深い知識を持っていることを証明するものとなります。また、製図についてもスキルがないと資格は取れませんので、分かりやすい図面を描けるところなのかを判断するのにも役立ちます。

もう一つの参考になる資格としては、建築施工管理技士を挙げることができます。施工図を描くために、この資格が必要というわけではありません。高い実績を挙げている会社でも、この資格保有者がいないことがあります。しかし、建築施工管理技士の資格を取るためには設計図を正確に読み取る能力を持っていることが必要ですし、現場での施工管理ができるスキルを保有していることが条件となっています。実際に現場での実務経験を持つ人であるという証明ともなるため、現場をよく知っている人がいる会社だと判断することもできるわけです。より現場で働く作業員の視点で施工図を描くことができるので、それだけ頼りになる存在と言えるでしょう。

CAD関連の資格を持っているかどうかも、一つの参考となります。当然ながら、この資格も特に施工図を作るために必須と言うことではありません。しかし、CADを使って図面を作られますので、この資格を持っていれば、正確に図面を引ける能力があると判断できます。また、施工図は確実に納期に間に合うように受け取る必要がありますし、工事途中で急な修正を求めることもあります。そんな時に、スピーディーに製図をしてくれる会社だと心配しなくて済みます。こうしたことからも、CAD操作の技術が高いというのは一つの安心材料となるわけです。

このように、作図に関係する資格を持っていると、スキルが高いということを客観的に判断できます。しかし、それだけで決めるのではなく、会社の実績や評判も確認するようにしましょう。実際にその会社に依頼した人に聞いてみると、分かりやすく正確な図面を作ってくれるかなどを確かめられます。また、担当者が丁寧に応対してくれて、コミュニケーションがしっかりと取れるかという点も見ることで、スムーズなやり取りができるかを判断できます。