電気施工図の種類とその内容

電気関連の施工図

建物であれば、ほぼすべてに電気配線が必要となります。そのため、電気関連の指示を示す施工図が作られます。「電気施工図」とか、単に「電気図面」と呼ばれることもあり、電気の配線を示したり、電気を使った設備の設置場所やその方法を指示したりします。また、壁のどの位置にコンセントを付けるとか、分電盤やブレーカーを設けるかなど、細かな情報も記載されることになります。大きな施設では敷地内に変圧器などの大型設備を設置することもありますので、そのための細かな情報を記した別の施工図を作成するケースも見られます。電気系統の工事は建物のほぼすべての場所において必要となるものですし、コンクリートの打設の前段階からケーブル管を埋めるなどの作業が求められることもあります。そのため、施工図の中でも重要度が高く、細かく記すと共に、工期の早い段階から使われる傾向が強いです。

電気施工図の種類

一口に電気図面と言っても、それぞれ異なる目的のために複数の図面が描かれます。たとえば、「単線接続図」というものがあります。これは、外部から電気を引き込み、それが建物の中でどのように流れていくかというルートを教えるためのものです。主に全体の配線状況を見るのに役立ち、建設時だけでなく、メンテナンスや保守をする時にも欠かせない図面となります。「単線接続図」では単にケーブルだけでなく、分電盤などのルートの重要な拠点となる設備についても、その設置する設備の種類情報と共に記載されることが多いです。

この単線接続図と関連して、「複線接続図」というものも作られます。これは、それぞれの場所で実際にどのように配線するかを示すためのものです。単に電気の流れを示す単線接続図よりも細かい図面となります。たとえば、部屋全体の照明のスイッチを入り口でも室内の他の場所でも使えるように、実際の配線図を記します。場所ごと、そして設備ごとに配線の仕方を指示する図面として、現場ではよく確認されるものとなります。

電気施工図では「内部接続図」というものも重要です。この図面では、主に電気を使う装置や機器の配置場所や、そのための配線状況を記します。配電盤などのどこにでも必要な設備だけでなく、厨房の大型冷蔵庫用の配線を示すものなど、それぞれの場所ごとに異なる設備の指示も与えるものとなります。さらに、大型の配電機器については、その機器内部の配線や端子の付け方をどうするかという指示が記されることもあります。設備の場所を把握すると同時に、電気工事を実際に行うための詳細な情報を見られますので、これもやはり作業現場で参照される頻度が高いです。

「屋内配線図」も、どの現場においても作られます。これは、コンセントやスイッチ類、照明の配置図、換気扇やエアコンのための配線などの指示を記した施工図です。マンションなどの建築においては、台所やトイレ、バスといった小さな空間の中にたくさんの配線と設備が入ることがありますので、部屋ごとに細かい配線図が作成されることもあります。また、工場などの機械が導入される現場では、それぞれの機械ごとに細かな配線図が必要となることもあります。リレーの仕方や安全装置の配置など、機械によって位置や必要とされる電圧などが異なることもあるからです。複雑なものだと、別に「展開接続図」と呼ばれる図面が作られて、機械の動作手順ごとにどのように電気が流れていくか、そのためにどんな配線や設備を設けるかが指示されることもあります。こうした特殊性の高い施工図については、専門的な知識を持つプロの手によって作成されることになります。

電気関連の施工図が作られる流れ

このように、電気関連の施工図は、それぞれの目的や場所によって異なるものが作られます。施工図を作っていく流れとしては、まず大元の設計図を基にして、全体の電気の流れを指し示す「単線接続図」が作成されます。その後、実際の配線の仕方を指示するための細かな情報を盛り込んだ「複線配線図」を作ります。複線配線図では、あくまでもそれぞれの場所における接続方法を示すだけですので、細かな接続ポイントを指示するための「内部接続図」が検討されることになります。「内部接続図」によって、特定の場所におけるそれぞれの接続の仕方が分かりますので、今度は「屋内配線図」によって、すべての設備や機器の配置と、配線の方法を示します。

こうして大まかな流れを見るための図面から、細かな指示に絞っていくという形で電気図が作られていくのです。また、実際には居住部とエントランス部、廊下、居住部でもキッチンとリビングなど、場所ごとに利用される区画が分けられますので、それぞれの区画ごとに詳細図が作られることもあります。現場では、建物全体の配線を行う施工業者もいますし、特定の区画だけに携わる業者もあります。そのため、それぞれの必要に応じて、作業内容が分かりやすい施工図を作り、担当する部署に示される必要があります。