設備関連の施工図の種類は?作業前にチェックするポイントは?

設備関連の施工図面の重要性

設計図や施工図というと、躯体や仕上げ作業に関連する図面を思い浮かべる人が多いです。確かに、こうした専門工事についての図面がしっかりと用意されていないと、正確な施工はできませんし、安全作業はおぼつきません。しかし、同時に設備関連の施工図も欠かせないものとなります。というのも、商業ビルであれ集合住宅であれ、実際にその建造物を使用する人が快適に過ごすために、設備というのは非常に重要な役割を果たすからです。単に設備が付いていれば良いということではなく、適切な位置に設置されていて、しかも動線を考慮して使いやすい向きや関連設備との距離で付けられていることが重要となります。また、設備は水道や電気、ガスなどと接続されていますので、もし適切な工事がなされないと、作業スタッフと共に施主様の安全を脅かすものとなってしまいます。そのため、設備関連の施工図というのはとても大事な役割を担っているのです。

実際に建設現場で作業をする際にも、それぞれの設備を取り付けたり、設備のための配線、配管をするために必要となります。位置決めをしたり仕上がり寸法を見るために、常に施工図と比較しながら作業をしていきます。そして、これは構造や仕上げ作業をするスタッフも一緒です。どこにどんな設備が入るのかを確認して、それに合わせてぴったりの仕上がりとなるように作業計画を立てていくからです。工事の中でも最終に位置する設備工事ではありますが、早い段階から必要とされる図面ともなります。

設備関連の施工図の種類

建物の種類によっても異なりますが、設備関連の施工図はかなりたくさんの種類があります。どの建物にも共通するものとしては、屋内外の給排水設備といった水道周りのものがあります。壁や床の内部を通すための配管だけの施工図もこれに含まれます。また、エアコンや照明、コンセントなどを設置するための電気設備図面も必須です。電気設備の図面でも、表に出る設備そのものの配置を示す図面や建物内部の配線についての仕様を示す図面もあります。さらに、ある程度大きな建物であれば、空調設備の施工図も求められます。空調ダクトの位置や長さなどを、電気配線との兼ね合いを見ながら決めていくことになります。

他にも、工場や商業施設などでは機械設備図面が必要となることも多いです。重量機械を設置するために、位置決めをしたり、壁や床との固定方法を指示したりします。また、これに関連して電源取りや給排水設備の接続を示す図面も必要となることがあります。特に製造を行っている工場では、かなり複雑な機械設備を導入することがあり、専門的な知識やノウハウが必須です。そのため、機械のタイプに応じて実績がある事務所が対応することも多く、効率的な作業ができるように作図をしていきます。

設備関連の施工図をチェックするポイント

設備設置工事は、施主様の要望や建物の用途そのものに直接関連する要素が多いです。そのため、確実に設計書で記されている仕様やイメージが反映されていなければなりません。そのため、設備関連の施工図だけを見るのではなく、設計図そのものも見ながら施工していくことが大事です。特に、設計図には設備に関する特記仕様書が添付されていることが多いので、その内容を読み込んで施工図に生かされているかをチェックします。また、すべてのバージョンの設計変更仕様書や質疑応答文書についても、できるだけ確認するようにしましょう。というのも、他の専門工事よりも、設備関連の工事は当初の設計もしくは施工プランから変更される可能性が高いからです。

また、配管もしくは配線の取り合いを他の工事区分と比較することも忘れないようにしましょう。基本的に施工図面に指示されていることだけを作業すれば良いと考えることもできますが、他の工事箇所とうまく折り合いが付かないと、思わぬトラブルが発生してしまうことが多いです。現場で作業している時もそうですし、完工後、施主様が利用を始めてから生じることもあります。結果的に施工業者が大変な思いをするケースも多いので、前もってしっかりと確認をしておくことで、トラブルを生じさせずに済むのです。

さらに、使う資材の指定がすべて明確になっているかを見ましょう。ダクト径や用途、素材などの指定がないと、現場で混乱を生んでしまいます。現場でこうした確認をするようでは、工事がストップしてしまう原因となりますので、施工図面を確認する段階できちんと確かめておくようにします。異種の材料、特に異種金属の接合が生じる部分については、特に注意して確認をすべきです。どんな手法で接合をするのか、強度が不足しないかなどをチェックして、施工計画書に参照できるようにしておきましょう。

もう一つ大事なのは、現場での作業スペースの確保です。作業に必要な人員や機械、足場を置けるだけのスペースが周りにあるかということです。これを見て、事前に作業計画を立てて、効率よく仕事をすることができます。