鉄骨工事に関連した施工図図面の特徴とは?

鉄骨図面の必要性

マンションや大型商業施設のような大きな建物はもちろんのこと、アパートや戸建て住宅においても、より堅牢な建物を求める施主様が多くなっていることもあって、鉄骨造りの建造物が多くなっています。もちろん、そこで使われる資材は軽量鉄骨を始めとして、いろいろなものがあります。しかし、どんな構造の建物であろうと、施工をするに当たっては鉄骨のための専用の施工図面が必要となってきます。

鉄骨は建物の躯体、つまり構造そのものを支える非常に重要なパーツです。そのため、設計において鉄骨についての詳細なデータは欠かせないものとなっています。建設においては正確な構造計算をする必要がありますが、そのためには建築設計に関わる様々なデータを使います。その中でも、特に鉄骨についての詳細というのは、建物全体の強度に関わるものであるため、重要度の高いデータなのです。そのため、鉄骨についての細かな内容を記した図面やリストというのは、設計段階から欠かせないものとなります。

そして、鉄骨図面は設計だけでなく、現場で施工をする作業スタッフにとっても必要不可欠の書類です。そのため、鉄骨のみの施工図が作られることになり、建物の規模や構造によってはいくつもの異なる図面が作成されます。たとえば、床伏図や軸組図、構造詳細図などがあります。また、厳密には図面ではないものの、資材リストなどもほとんどの現場で使用されます。このリストは、使用される鉄骨の種類ごとに、長さや厚みなどが記されたもので、施工図と比較しながらどの鉄骨を利用していくのかを見るために使われます。鉄骨工事をするに当たって複数の図面が作られることで、現場の職人さんはより正確に作業ができます。また、細かなパーツの取り合いなどについて、図面を見ればすぐに分かるようになりますので、効率よく作業を進めるためにも役立ちます。鉄骨工事は、建物全体の安全性や耐久性を左右する非常に重要なものですので、より正確に完成させるためにも、こうしたたくさんの図面が必要となるのです。また、鉄骨工事は工事規模もかなり大きく、全体の中で割り振られる工事期間も長いです。こうした詳細な図面があることで、スムーズに工事を進めていき、工期を短いものとするのに役立つわけです。

鉄骨工事で用いられる図面

建物の規模や構造、施工会社によって用いられる図面の種類は異なります。一般的に用いられることが多いものとしては軸組図があります。これは、それぞれの直線上に設けられる鉄骨の柱や梁などを、その線ごとに分けて立面図にしたものです。一か所に切り取って鉄骨の構造を見ることができますので、シンプルで作業をする職人さんにとって分かりやすい図面となります。また、同じような構造が連続する大規模な建造物においては、図面を省略するためにも用いることができます。

また、構造を見るのに適しているのが「床伏図」です。床の構造を示すための図面で、タイルや床パネルなどの仕上げ材の部分を含まない内部の骨組みを見るのに役立ちます。2階建ての一般建造物で用いられる場合、1階部分の床伏図は床下の構造を上から見る形で描き、2階については天井部分、つまり見上げる形で描くことが多いです。多層階の建物の場合は、階数や構造によって見上げる形にするのか、見下げる形にするのかを検討した後に描画します。床伏図は鉄骨工事においては、比較的大きな規模の建物で使われる傾向が強いです。

現場における作業を熟知したプロが制作することが大事

こうした鉄骨工事に関連する図面は、設計図などの通常の平面図では読み取るのが難しいものを、よりイメージしやすいものとするために役立ちます。施工図はあくまでも現場における作業スタッフのためのものです。そのため、鉄骨工事に使われる施工図は、現場作業の実際を熟知したプロが制作することが大事です。細かな部材の違いを明確にして、どこにどのタイプの資材を使うかをすぐに分かるようにすることや、それぞれの鉄骨の納め方をイメージしやすいようにすることが求められます。さらに、鉄骨工事と関連した他の専門工事についての配慮も必要となります。配線や配管、設備の固定部などについて検討して、しっかりとすべてが納めるようにまとめるには、想像力と経験が求められます。

こうしたことから、鉄骨の施工図を依頼するのであれば、やはり実績の高い事務所に頼むのが一番です。また、一度施工図を作ってもどうしても修正が必要となるケースも出てきます。そのため、ミス修正だけでなく、通常の修正依頼についても快く応じてくれる、できれば追加費用負担なしで少なくても一回は修正に応じてくれるサービスを提供しているかどうかを見たいところです。こうした丁寧なサービス体制を設けているところであれば、現場のニーズに通じているということも分かりますので、依頼する事務所を選定する際の助けとなります。